矯正中のクリーニング頻度は?プロケアで虫歯・歯周病を予防する方法

矯正治療をスタートすると、多くの方が気にされるのが「装置をつけたままで、お口の中をきちんと清潔に保てるのか」という点です。
ブラケットやワイヤーが歯の表面に固定されていると、どうしても食べかすが挟まりやすく、歯ブラシが届きにくい箇所が増えてしまいます。
この記事では、矯正中のクリーニングの重要性や推奨される頻度についてお伝えします。
矯正中にクリーニングが必要な理由
矯正装置を装着していると、汚れが蓄積しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

ブラケットとワイヤーの隙間、歯と装置の境目など、細かい部分に食べかすやプラークが残りやすいのです。こうした磨き残しは、虫歯菌や歯周病菌の格好の住処となり、放置すると深刻なトラブルや矯正装置の脱離につながります。
矯正治療中は歯が動いている最中であり、歯と歯茎の間に隙間ができやすい時期でもあります。この隙間に細菌が入り込むと、歯茎の炎症や出血を引き起こしてしまうことがあります。
また、矯正装置の調整時には痛みや違和感が生じることがあり、そのために歯磨きが雑になってしまう方も少なくありません。痛みを避けようとして、ブラッシングの時間が短くなったり、力加減が弱くなったりすると、汚れが残りやすくなってしまいます。当院でも多くの症例で使用しているアンカースクリューは、埋入後に安定するまでの間、ブラッシングが不十分だと周囲に炎症が生じ、アンカースクリューが安定せず外れやすくなることがあります。
当院では、こうしたリスクを最小限に抑えるため、ブラケットを装着した当日に、矯正治療中の歯みがきの方法についてご説明しています。
また、歯科医院での定期的なクリーニングを受けていただくことをおすすめしています。
矯正中のクリーニングは、単に汚れを取り除くだけではありません。虫歯や歯周病の早期発見、口臭予防、そして治療後の美しい歯並びを守るための重要なステップなのです。
推奨されるクリーニングの頻度
矯正治療中のクリーニング頻度は、患者さんのお口の状態やセルフケアの習慣によって異なります。
一般的には、3〜4ヶ月に1回の定期的なクリーニングが推奨されています。ただし、歯石がつきやすい方や、歯周病のリスクが高い方は、1〜2ヶ月に1回の頻度でクリーニングを受けることが望ましいです。
お口の状態別の推奨頻度
歯周病と診断されている方や、歯茎の炎症が見られる方、虫歯ができやすい方は、1〜2ヶ月に1回のクリーニングが必要です。歯周病は全身の健康にも影響を及ぼすため、早期の対応が重要になります。
歯石がつきやすいと言われた方は、2〜3ヶ月に1回のクリーニングが適切です。歯石は歯磨きでは取り除けないため、定期的に歯科医院で除去する必要があります。
セルフケアがしっかりできている方でも、3〜6ヶ月に1回のクリーニングは受けることをおすすめしています。
矯正治療中の方はもちろん、矯正治療をしていない方も、定期的にクリーニングを受けることは、健康な歯を守るために大切です。
当院での推奨頻度
当院では、矯正治療中の患者さんに対して、矯正装置の調整日に歯みがきの状態を確認しており、ブラッシングが十分にできておらず歯ぐきに炎症がみられる場合には、クリーニングのご予約をご案内しています。
矯正中のクリーニングで行う内容

虫歯・歯周病の検査
クリーニングの前に、まず現在のお口の状態を詳しく検査します。虫歯の有無や進行具合、歯周病の状態を確認するため、歯と歯茎の溝の深さを測定します。
歯石取り(スケーリング)
専用の器具を使用して、歯にこびりついた歯石を除去していきます。歯石は磨き残しが固まったもので、放置すると虫歯や歯周病の原因となります。
矯正装置がついている状態でも、熟練した歯科衛生士が丁寧に歯石を取り除きます。歯石の量が多い場合には、数回に分けて施術を行うこともあります。
PMTC(専門的機械的歯面清掃)
専門的な機材を使用して、歯の表面を徹底的に清掃します。歯垢や着色汚れを除去し、細菌の付着を防ぐ効果があります。
フッ素塗布
歯質を強化するため、フッ素塗布を行うこともあります。フッ素は歯の表面のエナメル質を強化し、虫歯の予防に効果的です。
矯正治療中は虫歯のリスクが高まるため、フッ素塗布による予防ケアが有効です。高濃度のフッ素が含まれている歯みがき粉は、歯質の修復や強化を促し、虫歯菌の働きを抑える作用があるとされており、日常のケアに取り入れることで虫歯予防に役立ちます。
矯正中のクリーニングのメリット

虫歯・歯周病の予防
矯正中のクリーニングの最大のメリットは、虫歯や歯周病を予防できることです。矯正治療中に虫歯や歯周病が発生すると、治療を中断しなければならないこともあります。
装置の下や周辺に溜まった汚れを徹底的に除去することで、細菌の繁殖を抑え、虫歯や歯周病のリスクを大幅に低減できます。自宅でのブラッシングだけでは取り除けない汚れも、プロの手によるクリーニングで確実に除去できるのです。
歯の異常の早期発見
クリーニングの際には、お口の中を隅々まで確認するため、小さな異常も早期に発見できます。
初期の虫歯や歯茎の炎症、知覚過敏の兆候など、自分では気づきにくい変化も、専門家の目でチェックすることで早期に対処できます。
口臭予防
矯正装置の周辺に溜まった食べかすや細菌は、口臭の原因となります。定期的なクリーニングにより、これらの汚れを除去し、口臭を予防できます。
口腔内が清潔に保たれることで、口臭の原因菌の増殖も抑えることができます。
着色の予防
コーヒーや紅茶、ワインなどの色素の強い飲食物は、歯の表面に着色汚れを残します。矯正中はホワイトニングができないため、定期的なクリーニングで着色を予防することが重要です。
クリーニングにより、食べ物や飲み物によるステイン(着色汚れ)を除去し、元の歯の色に近づけることができます。
歯質の強化
クリーニングの際にフッ素塗布を行うことで、歯質を強化できます。フッ素は歯の再石灰化を促進し、虫歯になりにくい強い歯を作ります。
矯正治療中は歯が動いている状態であり、エナメル質が弱くなりやすい時期です。フッ素塗布により、歯を保護し、虫歯のリスクを低減できます。
当院での口腔衛生管理の取り組み
当院では、矯正治療中の患者さんの口腔衛生管理に力を入れています。
毎回の口腔内写真撮影
来院の都度、経過に合わせて口腔内写真を撮影し、前回との比較を行いながら進行を確認しています。
この取り組みにより、歯の動きだけでなく、口腔内の清掃状態も客観的に評価できます。磨き残しが多い箇所や、歯茎の状態の変化を視覚的に確認し、より精密なケアにつなげています。
定期通院でのブラッシング指導
処置日には矯正治療とあわせて歯みがきの状態を確認しています。
また、歯ぐきの状態に応じてクリーニングをご案内しています。
矯正治療中は歯みがきが難しくなることがありますが、ブラケット装着時にワンタフトブラシを1本お渡しし、適切なブラッシング方法を指導していますのでご安心ください。
矯正中のクリーニングに関するよくある質問
Q1. 矯正装置をつけたまま、他の歯科医院でクリーニングを受けることはできますか?
他院でもクリーニングは可能です。虫歯が見つかった場合には、治療が必要になります。装置を装着したままでもクリーニングは可能ですが、虫歯治療の際には矯正装置の一部を外す必要が生じることがあります。
Q2. クリーニングの費用はどのくらいかかりますか?
クリーニングの費用は、保険適用の有無や内容によって異なります。
一般的には、3割負担の場合で2,000円〜4,000円程度となることが多いです。
Q3. クリーニングの時間はどのくらいかかりますか?
保険適用のクリーニングの場合、30分〜45分程度で終わることが多いです。自費のクリーニングの場合は、1時間近く時間をかけて丁寧に行うこともあります。
まとめ
矯正治療中のクリーニングは、虫歯や歯周病を予防し、治療後の美しい歯並びを守るために不可欠です。
当院では、ご来院時に歯みがきの状態を確認し、歯ぐきの状態に応じてクリーニングをご案内しています。また、ブラケット装着時にはワンタフトブラシを用いたブラッシング方法のご説明も行っています。
歯の動きを確認するため、口腔内写真を撮影し、必要に応じてお渡ししています。
写真をご覧いただくことで、矯正治療の進み具合やブラッシングの状態を視覚的に確認することができ、日々のセルフケアの見直しにもつながります。
矯正治療で歯並びを整えても、虫歯や歯周病になってしまっては本来の目的が十分に達成できません。
審美面・機能面の両方の観点から良好な歯並びを維持するためにも、日々の適切なケアと定期的なクリーニングを心がけることが大切です。
矯正治療中のクリーニングや口腔衛生管理についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。

さわだ矯正歯科クリニック 院長
澤田 大介(さわだ だいすけ)
日本矯正歯科学会認定医・指導医、日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医として、長年にわたり矯正歯科治療に従事。大学病院での臨床・教育経験を活かし、精度の高い矯正治療と患者様一人ひとりに適した治療計画の提供に努めています。舌側矯正をはじめとした専門性の高い治療にも対応し、国内外での指導・講師活動も行っています。
経歴
岡山大学歯学部 卒業
岡山大学歯学部 歯科矯正学講座 入局
岡山大学歯学部附属病院 外来医長
さわだ矯正歯科クリニック 開設
さわだ矯正歯科 桂クリニック/西院クリニック 開設
インディアナ大学歯学部矯正学科 JOP講師
岡山大学歯学部 元臨床准教授
資格・所属
日本矯正歯科学会 認定医・指導医
日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医
ESLO(ヨーロッパ舌側矯正歯科学会)認定医
日本矯正歯科学会/近畿東海矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会/京都矯正歯科医会
日本顎関節学会/日本顎変形症学会/日本口蓋裂学会
日本舌側矯正歯科学会/日本成人矯正歯科学会


