院長コラム

アンカースクリュー矯正のメリット・デメリット〜可能となる治療を専門医が解説

アンカースクリュー矯正のメリット・デメリット〜可能となる治療を専門医が解説

アンカースクリュー(TAD)とは何か?〜基本的な仕組みと特徴

歯科矯正用アンカースクリュー(TAD:Temporary Anchorage Device)とは、チタン製の小さな医療用ネジを顎の骨に一時的に埋め込み、歯を動かすための「絶対的な固定源」として使用する矯正補助装置です。矯正治療が終われば除去でき、除去後に大きな傷跡が残ることもほとんどありません。

サイズは直径1.5~2.0mm・長さ6〜12mm程度と非常に小さく、素材はチタン合金です。チタンは生体適合性に優れ、骨折の接合や人工関節にも使われる安全な金属で、金属アレルギーの心配も少ない素材として知られています。

この治療法は1990年代後半に登場した比較的新しい手法で、矯正治療の期間短縮や歯の移動可能性を大きく広げる方法として普及してきました。

アンカースクリューを用いた矯正治療なら、
これまで難しかった歯の移動も可能に。
その効果とメリット・デメリットを解説します。

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さわだ矯正クリニック 長岡京院
京都府長岡京市長岡2-1-3 ガラシャビル3F

従来の固定法との違いは?

アンカースクリューが登場する以前は、ヘッドギア(頭にかぶる装置)パラタルバーなどを使って奥歯が動かないよう固定していました。ヘッドギアは就寝・起床時合計10時間の装着が必要で、患者さんの協力度に治療結果が左右されるという課題がありました。

アンカースクリューは骨に直接固定されるため、患者さんの協力度に依存せず、24時間休みなく矯正力を伝え続けることができます。これにより治療工程が簡略化され、治療期間の短縮にもつながります。

アンカースクリュー矯正のメリットは何か?〜治療精度と非抜歯の可能性

アンカースクリューの最大のメリットは、歯のコントロール精度が格段に向上し、非抜歯治療の選択肢が広がる点です。骨に直接固定されるため、矯正力がダイレクトに目的の歯へ伝わり、意図しない歯の動きを抑えることができます。

① 前歯の後退(出っ歯・口ゴボ改善)に非常に有効

出っ歯(上顎前突)や口ゴボを改善するには、前歯を大きく後方へ移動させる必要があります。従来の方法では、多くの症例では抜歯が必要となる上、小臼歯を抜歯した場合には「前歯 vs 奥歯」の綱引き状態となり、奥歯が前方に動いてしまう反作用が生じていました。

アンカースクリューを固定源にすれば、奥歯を動かさずに前歯だけをまとめて後退させることが可能です。これにより前歯の後退量が増え、出っ歯・口ゴボの改善効果が高まります。

② 奥歯の後方移動(大臼歯遠心移動)が可能になる

奥歯を奥へ押し込んだり後方へ移動させることは、従来の矯正治療ではほとんど不可能とされていました。アンカースクリューを用いることで、大臼歯の遠心移動が現実的な選択肢となります。

奥歯を後方に移動させてスペースを確保することで、従来であれば小臼歯の抜歯が必要と判断されるケースでも、非抜歯での治療が可能になる場合があります。当院(さわだ矯正歯科クリニック)では、この手法を活用することで長岡院における12歳以上の患者を対象とした2021年から2025年の5年間の抜歯率を3.9%に抑えています(親知らずの抜歯は除く)。

③ 難症例への対応範囲が広がる

開咬(オープンバイト)の改善には臼歯の圧下(歯を骨の中に押し込む動き)が必要ですが、これも従来の矯正では難しい移動方向の一つでした。アンカースクリューを使えば、歯の圧下・ガミースマイルの修正・埋伏歯の牽引など、難易度の高い歯の動きにも対応できます。

症例によっては、従来なら外科手術が必要と判断されるケースでも、アンカースクリューを活用することで手術なしの矯正治療が可能になる場合もあります。

④ 治療期間の短縮と患者負担の軽減

アンカースクリューは患者さんの協力度に依存しないため、治療工程を簡略化でき、全体的な治療期間の短縮につながります。治療期間が短くなることで、虫歯の発生リスクも低下するという副次的なメリットもあります。

アンカースクリュー矯正のデメリット・リスクは何か?〜注意すべき点

アンカースクリューの主なデメリットは、脱落することがある点と、埋入部位の口腔衛生管理が必要な点です。ただし、適切な術者と管理のもとでは多くのリスクを最小化できます。

① 脱落することがある

アンカースクリューはインプラント(人工歯根)と異なり、骨との化学的な結合を行いません。そのため、習熟した術者であっても脱落するケースがあります。

脱落した場合は、傷が回復した後に再埋入を行うことがあります。患者さんの生活習慣や年齢、骨の状態や口腔衛生状態によっても成功率は左右されるため、日常的な口腔ケアが重要です。

② 埋入部位のプラーク管理が必要

スクリューが歯ぐきを貫通して口腔内に露出しているため、埋入部位にプラーク(歯垢)が付着しやすいという特性があります。清掃が不十分な状態が続くと炎症や感染をお越し、アンカースクリューが緩んだり脱落したりするリスクが高まります。

歯ブラシで丁寧にスクリュー周囲を清掃し、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。

③ 適応症例の見極めが必要

アンカースクリューはすべての患者さんに適応できるわけではありません。骨の状態・埋入位置の解剖学的条件・矯正力のかけ方を十分に検討しなければ、目的とする歯の移動は得られません。

④ 処置時の軽度の違和感

埋入処置は局所麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。処置時間は1本あたり15〜20分程度で、「思ったより全然怖くなかった」「もう終わったんですか?」と感じる患者さんが多いです。

処置後は数日間、軽度の違和感や腫れが生じることがありますが、通常1週間程度で落ち着きます。日常生活への影響は基本的にありません。

アンカースクリューはどんな症例に適応されるか?〜対象となる歯並び

アンカースクリューが特に有効な症例は、出っ歯・口ゴボ・開咬・叢生(ガタガタ)・ガミースマイルなど、大きな歯の移動量が必要なケースです。

  • 出っ歯(上顎前突)・口ゴボ…前歯を大きく後退させたい場合に有効。臼歯を後方へ移動してスペースを確保することで、前歯をより大きく後退させることが可能になります。
  • 叢生(ガタガタの歯並び)・八重歯…奥歯を後方移動させてスペースを確保し、非抜歯での整列が可能になるケースがあります。
  • 開咬(オープンバイト)…臼歯の圧下により前歯の噛み合わせを改善します。
  • ガミースマイル…上顎前歯を圧下して歯肉の露出を抑え、審美性を向上させます。
  • 受け口(反対咬合)・交叉咬合…下顎の歯を後方移動させる際の固定源として活用します。
  • 再矯正・難症例…他院で「矯正困難」「抜歯必須」と言われたケースでも、アンカースクリューを活用することで治療の選択肢が広がる場合があります。

一方で、骨の量が不足している場合や、埋入予定部位に歯根が近接している場合など、解剖学的条件によっては適応が難しいケースもあります。精密検査(CT撮影を含む)を行ったうえで判断することが重要です。

こんな方におすすめ

  • 奥歯の引っ込みを改善したい
  • 前歯の突出感を和らげたい
  • 抜歯をせずに歯並びを整えたい
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アンカースクリューの処置の流れ〜埋入から除去まで

アンカースクリューの埋入から除去までの流れは、精密検査・埋入・矯正治療・除去の4ステップです。処置自体は短時間で完了し、患者さんの負担は最小限に抑えられています。

  • 精密検査(CT撮影・レントゲン)…埋入予定部位の骨の厚みや歯根の位置を確認します。初診検査時にCT撮影を行い、安全な埋入位置を決定します。
  • 局所麻酔…局所麻酔を行います。骨には痛覚がないため、麻酔量は少量で十分です。また、表面麻酔を行うことで、痛みを最小限に抑えます。
  • スクリュー埋入(15〜20分程度)…専用のドライバーを使い、決定した位置にスクリューをねじ込みます。処置後は日常生活にほぼ支障ありません。
  • 矯正治療中の管理…スクリューにゴムやワイヤーをかけて矯正力を加えます。定期的に来院し、スクリュー周囲の清掃状態と脱落の有無を確認します。
  • スクリュー除去…矯正治療が終了したら、スクリューを反回転させて簡単に除去します。除去後の傷は通常1週間程度で治癒し、傷跡が残ることはほとんどありません。

さわだ矯正歯科クリニックのアンカースクリューを活用した非抜歯矯正とは?

さわだ矯正歯科クリニックでは、歯科矯正用アンカースクリュー(TAD)を固定源として奥歯を後方移動させることで、「できるだけ歯を抜かない矯正治療」を実現しています。長岡院における12歳以上の患者を対象とした2021年から2025年の5年間の抜歯率は3.9%で、可能な限り非抜歯での矯正治療を目指しています。

当院の特徴として、治療経過に応じて、お顔の写真や口腔内写真を撮影し、治療経過を客観的に記録・確認する体制を整えています。前回と当日の撮影状態を比較することで、患者さん自身も歯の動きを確認しやすい環境を提供しています。このような取り組みは全国的にも希少とされています。

京都府長岡京市の長岡院を本院とし、京都市西京区(桂クリニック)・京都市右京区(西院クリニック)の計3院を展開。3院の矯正治療費用は共通で、いずれも駅・バス停からアクセスしやすく、駐車場も完備しています。

アンカースクリュー矯正を受ける際に確認すべきポイントは何か?

アンカースクリューを使った矯正治療を受ける際は、担当医の専門性・精密検査の有無・治療計画の説明内容を必ず確認することが重要です。

  • 矯正歯科専門医かどうか…アンカースクリューの埋入は外科的処置です。解剖学的知識と十分な臨床経験を持つ矯正歯科専門医が担当するかを確認しましょう。
  • 精密検査(CT・レントゲン)を行うか…埋入位置の安全性を確保するためにCT撮影を含む精密検査が必要です。検査なしに治療計画を立てるクリニックは避けましょう。
  • 非抜歯の可能性と抜歯の判断基準…「非抜歯で治療できる」と言われた場合でも、その根拠(歯の移動量・骨の状態・最終的な噛み合わせ)を丁寧に説明してもらうことが大切です。
  • 脱落時の対応方針…脱落した場合の再埋入方針や追加費用について事前に確認しておきましょう。なお、当院では再埋入代は頂いておりません。
  • 口腔衛生指導の有無…埋入部位の清掃方法について具体的な指導を受けられるかどうかも重要なポイントです。

さわだ矯正歯科クリニックでは、

精密検査のうえで一人ひとりに最適な治療計画を提案しています。「他院で抜歯が必要と言われた」「非抜歯矯正が可能か知りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。長岡京市・桂・西院の3院で無料相談を受け付けています。

よくある質問

アンカースクリューの埋入は痛いですか?

局所麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。処置時間は1本あたり15〜20分程度で、処置後に軽度の違和感が数日続くことがありますが、通常1週間程度で落ち着きます。

アンカースクリューは誰でも使えますか?

骨の状態や埋入予定部位の解剖学的条件によって適応が異なります。CT撮影を含む精密検査を行い、担当の矯正歯科専門医が適応を判断します。すべての患者さんに適応できるわけではありません。

アンカースクリューを使えば必ず非抜歯で治療できますか?

必ずしも非抜歯になるわけではありません。歯の移動量・骨の状態・最終的な噛み合わせのバランスを総合的に判断したうえで、非抜歯が可能かどうかを決定します。精密検査後に治療計画を立てることが重要です。

アンカースクリューが外れた場合はどうなりますか?

脱落した場合は、骨の穴が回復した後に再埋入を行うことがあります。脱落自体は治療の失敗ではなく、一定の割合で起こりうる事象です。

アンカースクリューの費用はどのくらいかかりますか?

アンカースクリューの費用はクリニックによって異なりますが、矯正治療費に含まれる場合と別途費用が発生する場合があります。治療開始前に費用の内訳を確認しておくことをお勧めします。

アンカースクリューは子どもにも使えますか?

顎の骨が十分に発育した段階(概ね12歳以降が目安)であれば使用できる場合があります。成長期の子どもへの適応は慎重に判断する必要があり、矯正歯科専門医による診査が不可欠です。

マウスピース矯正でもアンカースクリューは使えますか?

一部のクリニックではマウスピース矯正にアンカースクリューを併用した治療を行っています。ただし、アンカースクリューは主にワイヤー矯正との組み合わせで使用されることが多く、適応は症例によって異なります。

アンカースクリューを使った矯正治療の期間はどのくらいですか?

症例によって異なりますが、アンカースクリューを使用することで従来法より治療工程が簡略化され、治療期間が短縮されるケースがあります。一般的な矯正治療期間の目安は1〜3年程度です。

アンカースクリューの除去後に傷跡は残りますか?

除去後の傷跡はほとんど残りません。スクリューを反回転させて除去した後、歯ぐきの傷は通常1週間程度で治癒します。インプラント(人工歯根)とは異なり、骨との化学的結合がないため除去も容易です。

さわだ矯正歯科クリニックでアンカースクリューを使った治療は受けられますか?

はい、対応しています。当院では歯科矯正用アンカースクリュー(TAD)を活用した非抜歯矯正を基本方針としており、長岡院の過去5年間の抜歯率は3.9%(12歳以上)です。長岡京市・桂・西院の3院で対応しています。

結論

アンカースクリュー(TAD)は、非抜歯治療の可能性を広げ、治療精度と期間短縮に大きく貢献する矯正補助装置です。脱落リスクや口腔衛生管理の必要性はあるものの、矯正歯科専門医のもとで精密検査を経て使用すれば安全性・効果ともに高い治療法です。

当院では、15年以上のアンカースクリューを利用した非抜歯治療経験があります。

他院で抜歯が必要と言われたケースも非抜歯対応できることがあります。

一度、ご相談にお越しください。

さわだ矯正クリニックのアンカースクリュー治療

・症例ごとに最適な位置への埋入
・コンピュータシミュレーションによる精密な治療設計
・的確な装置の選択と快適な装着感

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さわだ矯正クリニック 長岡京院
〒617-0823 京都府長岡京市長岡2-1-3 ガラシャビル3F
[診療時間] 10:00〜13:00 / 14:30〜19:30 (水曜・日曜休診)

監修医師プロフィール

澤田 大介(さわだ だいすけ)(院長)

日本矯正歯科学会認定医・指導医、日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医として、長年にわたり矯正歯科治療に従事。大学病院での臨床・教育経験を活かし、精度の高い矯正治療と患者様一人ひとりに適した治療計画の提供に努めています。舌側矯正をはじめとした専門性の高い治療にも対応し、国内外での指導・講師活動も行っています。

経歴
岡山大学歯学部 卒業
岡山大学歯学部 歯科矯正学講座 入局
岡山大学歯学部附属病院 外来医長
さわだ矯正歯科クリニック 開設
さわだ矯正歯科 桂クリニック/西院クリニック 開設
インディアナ大学歯学部矯正学科 JOP講師
岡山大学歯学部 元臨床准教授

資格

日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医
日本矯正歯科学会 認定医・指導医・臨床医
ESLO(ヨーロッパ舌側矯正歯科学会)アクティブメンバー

所属学会
日本矯正歯科学会/近畿東海矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会/京都矯正歯科医会
日本顎関節学会/日本顎変形症学会/日本口蓋裂学会
日本舌側矯正歯科学会/日本成人矯正歯科学会

研究・講師活動
総合矯正研究会主催
スピード矯正研究会 会員

さわだ矯正歯科クリニックの矯正費用(料金表)

費用・料金は長岡京・桂・西院で共通の価格になります